こんにちはHenzelです。
今回はICLの手術後の定期検査がなぜ大事なのかをお話します。
ICLされた方は病院から『術後定期検査に来てくださいねー』と言われていないでしょうか?
実は単に視力を見ているだけではないのです。
これにはきちんと経過をみないといけない理由があります。
眼科医に細かいことを聞けないこともあるかと思いますので説明したいと思います。専門的な内容言うとかなり長くなるので簡単にポイントだけお伝えします。機序など詳しく知りたい方は病院ホームページなどをご覧頂くと良いかとおもいます。
レンズの挿入具合と眼圧
眼の中は房水という水が常に循環しており、それで眼圧(眼の硬さ)を一定に保ちます。
ICLは後房と呼ばれるせまい空間にレンズを入れているのですが、ICLを入れることによって房水の循環が滞り、眼圧が上昇する可能性があります。
眼圧が高くなると、眼痛や頭痛、吐き気を感じますが、自覚症状が出ないこともあります。
またレンズが目の中で安定する位置よって房水の排水口が狭くなり眼圧上昇につながることもあり、一時的に上がるだけではそれほど影響はありませんが、眼圧が高い状態を放置すると緑内障という病気になるリスクがあります。
緑内障は自覚症状がないのがこわいところ。自覚する頃にはかなり進んでいると思っておいてください。
ちなみに緑内障は眼圧が高くなることによって視神経が障害される病気で、一度障害された視神経は元にもどりません。病気が進行すると視野欠損し、最終的には失明する病気です。なので進まないようにすることが大事です。
緑内障と聞いてそれだけで不安に思うかもしれませんが、これはあくまでも定期検査を受診せず放置してしまった最悪の場合ということです。
定期検査で眼圧を測り、眼の状態を診ておけば心配ありません。
万が一眼圧が高い状態が続く場合には点眼治療で経過観察をすることもあります。
どうしても点眼治療で改善しない場合にはレンズを取り外さなければならないこともありますが、ICLはいざという時にレンズを取り外し、手術する前の状態に戻すことができます。これは大きなメリットです。
角膜内皮細胞の減少
角膜には多くの内皮細胞があります。
この細胞の数が極端に少なくなってしまうと角膜混濁などの角膜障害を起こします。
角膜の細胞は年齢と共に減少していきますが、通常は寿命が尽きるまでに角膜障害を起こすほどの減少はしません。
しかしICLのように何かしらの治療や手術を行うことで減少スピードを早めてしまうことがあります。
これも放置して最悪のところまで行ってしまった場合、角膜移植が必要になることもあります。
定期検査で内皮細胞の数を調べることができるので、そういった兆候がないかを診ておく必要があります。もちろん減少していなければ何の問題もありません。
白内障
ICLで眼内の循環が滞り、白内障が早く発症することがあると言われています。
現在のレンズは小さな穴があり、循環が滞らないようなレンズ設計になっているため、ほとんどそのような事例はないようですが、理論上はあり得ることなので知っておくとよいかと思います。
まとめ
ここでは書きませんでしたがもちろん視力検査を行い、視力や度数も確認します。
私がお伝えしたかったのは、定期検査がなぜ大切なのか本人が理解しておいてほしいということです。視力だけでなくそれ以外に関しても気にしておいていただきたいです。
受診しないよりかはするほうが良いですが、ただ単に受診するのではなくICLをすることによってどのようなリスク・合併症があるのかを理解したうえで眼科医の診察を受けるほうが自分のためにもなります。
リスクを知っておけばもし生活上で異変を感じたらすぐに対応できます。
もし眼圧上昇するリスクを知らなかったら、眼が痛いなぁと思っても放置してしまうかもしれません。知っていれば眼圧高くなってるかも・・・と危機感を感じます。
実際にICLされている方も、病院で眼科医からそこまで細かな説明をされないこともあるかと思いますので、少しでも理解を深められたらと思いこの記事を書きました。
最後に
ICLのリスクばかりをお伝えしましたが、ICLは安全な最新の近視矯正法です。
しかしどんな安全な治療も、間違った認識をしていれば危険な状態になり得るということを改めてお考えください。
眼科医の指示に従うことは大事です。
きちんと定期検査に通い、診察しておけば過度な心配をする必要はありませんので、良好な裸眼生活を実現するためにも定期検査を甘く見ずに真面目に通院しましょう。
ICLについて書いている記事もありますので、ICLをこれからやろうか考えている人はぜひそちらも参考にしてみてください。→ICLとは?視能訓練士が教えるICL